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2012年11月

2012年11月30日 (金)

てんかんと運転免許:現状と今後


アメリカてんかん学会総会に参加する直前ですが、
てんかんと運転免許の記事を追加いたします。

この記事は、
「てんかんのニュース―てんかんと運転免許」
http://kodomonotenkan.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-d45b.html
と関連する記事になります。


MOROさんの記事「続・てんかんと運転免許について」を、
大変に興味深く拝読いたしました。
http://ameblo.jp/tm100100/entry-11414167325.html

あらためて、
てんかん」における「運転免許」の現状と今後について、
整理してまいりたいと考えます。

2002年6月に改正されました「道路交通法」により、
てんかんにおける運転免許の取得は、
「絶対的」から「相対的」な「欠格事由」となり、
一定の条件のもとでの運転免許の取得が可能となりました。

その最低限の条件は、
1)てんかん発作が過去2年以内に起こっていないこと
もしくは、
2)1年間の経過観察の後に、
  意識障害や運動障害を伴わないてんかん発作のみであること
もしくは、
3)2年間の経過観察の後に、
  睡眠中のてんかん発作のみであること
のいずれかを満たすことです。

参考
日本てんかん協会:てんかんと運転免許
http://www.jea-net.jp/tenkan/menkyo.html

なお、
2)につきましては、
意識障害や運動障害を伴うてんかん発作が2年以内に起こっていない
ことを前提としていると解釈されています。

参考
てんかん情報センター(静岡てんかん・神経医療センター):
運転免許はとれますか?
http://epilepsy-info.jp/faq/%E9%81%8B%E8%BB%A2%E5%85%8D%E8%A8%B1%E3%81%AF%E3%81%A8%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%8B%EF%BC%9F/

その上で、
医師が「発作のおそれがない」あるいは「悪化のおそれがない」と診断すると、
運転免許が取得できることになります。

詳細は以下も参照されてください。

参考
日本てんかん学会法的問題検討委員会:
道路交通法改正にともなう運転適性の判定について.
てんかん研究 2002;20:135-138. 
http://square.umin.ac.jp/jes/pdf/info003.pdf

そして、
これらの条件につきましては、
先日の記事「てんかんのニュース―てんかんと運転免許」
http://kodomonotenkan.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-d45b.html
でも取り上げましたように、
「2年間」を「1年間」としても命に関わる事故の確率が上昇しないことから、
そして、
その確率は「25歳以下の男性の運転のおおよそ3分の1」に過ぎないことから、
日本てんかん学会より、
発作のない期間を「2年間」から「1年間」へ短縮することが提案されています。

参考
日本てんかん学会:てんかんと運転に関する提言
http://square.umin.ac.jp/jes/images/jes-image/driveteigen2.pdf

しかしながら、
現在の道路交通法
の別の問題点として挙げられていることが、
「六月を超えない範囲内において免許を保留・停止することができる」
という条文です。

これは、
6か月以内に1)、2)、3)のいずれかを満たさなければ、
運転免許が「取り消し」になるということです。
(期間中に「特殊な事情」があればさらに6か月の保留・停止あり)

すなわち、
運転免許をお持ちの人がてんかん発作を起こした場合、
その時点での「申告」では、
その免許は「取り消し」となります。
あるいは、
更新時点での「申告」では、
てんかん発作を起こした時期と「更新」の時期との関係により、
その間が「1年6か月以上」であれば更新できる可能性がありますが、
その間が「1年6か月未満」であれば更新できる可能性はなくなります。
(意識障害や運動障害を伴わないてんかん発作では「6か月未満」)

(なお、現行法ではこれらの「申告」は「任意」と解釈されています。)

参考 毎日新聞(11月29日付)
http://mainichi.jp/select/news/20121129dde041040069000c.html

この問題点は、
警察庁の有識者会議でも検討されています。

参考
警察庁:
第6回一定の病気等に係る運転免許制度の在り方に関する有識者検討会資料
http://www.npa.go.jp/koutsuu/menkyo4/6/siryo.pdf#search='%E4%B8%80%E5%AE%9A+%E7%97%85%E6%B0%97+%E6%9C%89%E8%AD%98%E8%80%85+%E7%AC%AC%EF%BC%96%E5%9B%9E'


*****以下抜粋(16ページ)*****

第4 一定の症状の申告を行いやすい環境の整備方策について
1 現状と問題点
イ 問題点
他方、一定の症状を呈する病気等に係る免許の可否の運用基準において、
その回復状況を見極めるために1年以上の
発作抑制期間を求めているものがあることから、
既に運転免許を受けている者についてそれらの病気に係る発作が再発した場合、
6月以内に取消事由に当たらなくなる見込みはないこととなり
必然的に免許取消処分がなされることとなる。
処分期間が経過すれば自動的に免許の効力が回復される停止処分と異なり、
取消処分を受けた者は症状が改善したとしても
運転免許の再取得に係る負担が大きいことが、
正しい症状の申告を妨げているとの指摘がなされているところである。

*****

てんかん発作が起こる理由はさまざまです。

医師から「発作のおそれがない」と診断された場合にも、
抗てんかん薬の「断薬」ややむを得ず服薬できなかった場合にも、
てんかん発作が再発してしまうことはあり得ます。

あるいは、
初めてのてんかん発作が起こる可能性はどなたにもあります。

運転免許が「取り消し」になってしまった後に、
もう一度「取り直す」のは簡単なことではありません。

「申告率」の低さの原因はここにもあるのではないでしょうか?

ですので、
日本てんかん学会は同時に、
運転免許は「取り消し」ではなく「保留・停止」のままにする、
 あるいは再取得の手続きを簡略化すること
抗てんかん薬を減量・中止したために再発した場合には、
 治療を再開して3か月間にてんかん発作がなければよいこと
 (一方で減量中、減量・中止後6か月間は運転しないこと)
・やむを得ない理由(手術など)で服薬できずに再発した場合には、
 治療を再開して3か月間にてんかん発作がなければよいこと
・初めてのてんかん発作の場合には、
 その後の6か月間に発作がなければよいこと
なども提案しています。

今回の日本てんかん学会の提言では、
「2年間」を「1年間」に短縮することが強調されがちですが、
これらのいくつもの提案が組み合わされることにより、
「医学的に妥当」かつ「国際的に標準」であり、
さらには「申告率の改善」をも期待できる、
道路交通法の改正が達成できると考えられています。

なお、
私たちは「医学者」ですので、
あくまでも「医学的観点」からの議論が主体となります。

ですので、
「無申告」による「罰則」についての議題

「法学者」による「法学的観点」からの議論が
必要となります。

てんかんにおける運転免許は重要な課題であり、
今後も取り上げていきたいと思います。

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2012年11月29日 (木)

アメリカてんかん学会総会に参加します

明日30日(金)から来月4日(火)まで、
アメリカのカリフォルニア州サンディエゴで開催される、
アメリカてんかん学会」の総会に参加してまいります。

アメリカてんかん学会は、
世界最大のてんかんの学会になります。
http://www.aesnet.org/

日本からも数多くのてんかんを専門とする医師が参加します。

ちなみに「日本てんかん学会」は、
まだ「てんかん専門医」の数は少ないですが、
それでも「アメリカてんかん学会」に次ぐ規模になります。
http://square.umin.ac.jp/jes/home.html

また「日本てんかん外科学会」という、
世界で唯一の「てんかん外科」の学会もあります。
http://plaza.umin.ac.jp/~jess/

現地で入手
しますてんかんの最新情報などを、
発信してまいりたいと思います。

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2012年11月28日 (水)

ネットと医師の信じ方

私たちは、
ホームページやブログなどのウェブサイト
あるいは、
フェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディア
などにより、
さまざまなてんかんの「情報」を手に入れることができます。

しかし、そのなかには、
「正確」なものもあれば「不正確」なものもあり、
「中立」なものもあれば「偏向」したものもあります。

私たちは、
インターネットの「氾濫」した「情報」のなかから、
どの「情報」を「信じるに足る」と判断すればよいのでしょうか?
(このブログ
もそのうちのひとつです。)

私はてんかんの専門医として、
いくつもの「医学雑誌」や「医学本」などの「医学書」を書いていますが、
それでも「正確」で「中立」な文章を書くことの難しさを感じております。

また、
ご高名な先生が執筆された医学書でさえも、
何らかの「誤り」を見つけることが少なからずあります。
それは、
意図しない「誤り」であり、
「知識の誤り」であることも「表現の誤り」であることもあります。
(もちろん実は私の方が「誤っていた」ということもあります。)
あるいは、
10年前には「正しい」とされていた情報が、
現在では「誤り」とされていることも少なからずあります。

私はできる限り「正しい」情報を手に入れるために、
たとえ「医学書」であっても常に3冊以上は読むようにしています。
そして、
3冊全てに書いてあれば、
それは「まず正しい」情報と判断しています。
3冊のうち2冊に書いてあれば、
それは「おそらくは正しい」情報と判断しています。
3冊のうち1冊にしか書いてなければ、
それは「最新の」情報かもしれませんが「誤った」情報かもしれません。
その
には4冊目を探すようにしています。

私はインターネットからの情報も、
そのようにして手に入れるようにしています。

同じことは、
「医師」や「病院」でもいえるかもしれません。

ある医師や病院を受診して言われたことが、
何冊もの本やインターネットに書かれていれば、
それは「まず正しい」と判断できるでしょう。
しかしどこにも書かれていなければ、
それは「最新の」ことかもしれませんが「誤った」ことかもしれません。

そのためにあるのが「セカンドオピニオン」になります。

複数の医師や病院を受診して、
2回とも同じことを言われれば、
それは「おそらくは正しい」ことでしょう。
3回とも同じことを言われれば、
それは「まず正しい」ことでしょう。

ですので、

現在の診療で解決のできない疑問があれば、
セカンドオピニオン」の受診も選択肢のひとつになります。


「言い出しづらい」というお話しはよくお伺いいたしますが、
「言い出しやすい」医師や病院にこそかかるべきなのかもしれません。

私は「てんかん」と診断した(あるいは診断しなかった)際には、
「別の病院を紹介することができる」ことをあらかじめ説明しています。
そして、
もし希望すれば「別の病院」は自分とは無関係の病院を紹介しています。
それにより「別の意見」を聞くことができるからです。


私は「納得した治療」を受けることが「最善の治療」だと考えています。
疑問があるままでは治療はうまくいかないかもしれません。


まずは目の前の主治医と十分にご相談されて、
それでも解決のできない疑問があるのであれば、
セカンドオピニオン
の受診を勧めます

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2012年11月27日 (火)

点頭てんかん(ウエスト症候群)の治療:ACTH療法の作用と副作用

この記事は続きになります。

「点頭てんかん(ウエスト症候群)の治療:AC
TH療法とは?
http://kodomonotenkan.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-3fc4.html

点頭てんかん(ウエスト症候群)に対するACTH療法は、
てんかん発作を抑え脳波を良くする「作用」が働く可能性と、
さまざまな重い「副作用」が出てしまう可能性との、
バランスによりできるかどうかが判断されます。

ACTH療法には、
点頭発作(スパズム発作)」というてんかん発作を抑え、
ヒプスアリスミア」という脳波異常を良くするという、
いくつかの治療のなかで最も有効な「作用」があります。
この作用はおおよそ4割から9割の患者さんで働くとされ
ています(文献1)。

一方で、ACTH療法には、
体の免疫を強く抑えることによる「感染症」や、
脳を一時的に縮こまらせることによる「脳出血」などの、
命に関わる重い「副作用」があります。
これらの重い副作用は「まれ」ではありますが、
現在でも決して「ゼロ」にはできません。

参考
薬事日報(2012年11月13日):
【厚労省医薬食品局安全対策課】コートロシンで死亡例‐水痘の感染に注意喚起
http://www.yakuji.co.jp/entry29039.html


その他にも、ACTH療法には、
「高血圧」、「低カリウム血症」、「高血糖症」、「体重増加」などの、
さまざまな副作用があります。
これらの副作用は、
「ACTH」が多く出てしまう「クッシング病」と同じ症状です。

参考
クッシング症候群 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4

ACTH療法の、
「作用」
働く可能性と、「副作用」が出る可能性は、
赤ちゃん一人一人でまったく違います。

ACTH療法の「作用」は、
原因がはっきりとしない「潜因性点頭てんかん(ウエスト症候群)」では、
原因がはっきりとした「症候性点頭てんかん(ウエスト症候群)」よりも、
働きやすいとされています。

ACTH療法の「副作用」は、
体の免疫が弱い赤ちゃんや脳から出血をしやすい赤ちゃんでは、
より出やすいと考えられます。

ですので、
ACTH療法をできるかどうかは、
慎重に慎重を重ねて判断されることになります。


なお、
潜因性点頭てんかん(ウエスト症候群)」では、
ACTH療法を早めに始めることによる発達への良い効果が報告されています。
ですので、
初めの抗てんかん薬が効かなければ、
早めにACTH療法に踏み切るようになってきています(文献1)。

この後も、
点頭てんかん(ウエスト症候群)の、
ACTH療法
について書いていきます。

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参考文献
[1] 伊藤正利:ウエスト症候群の診断・治療ガイドライン.
  てんかん研究 2006;24:68-73.
  http://square.umin.ac.jp/jes/epilepsy-detail/guideline.html

2012年11月26日 (月)

てんかんとつぶやき

ブログ、フェイスブック、ツイッターなどにより、
てんかんのことを簡単に発信できるようになりました。

このブログもそのひとつです。

私はてんかんのソーシャルメディアの第一人者は、
東北大学てんかん科教授の中里信和先生であると考えています。

去る11月22日(木)に仙台市で中里先生による、
「てんかん診療をつぶやく~ツイッターの光と陰~」
という市民医学講座がありました。

私は残念ながら参加することができませんでした。

中里先生は日本てんかん学界の第一人者であり、
大学病院に初めて「てんかん科」を設立された方です。

中里先生はてんかん
大変に有用な情報を、
「ツイッター」により毎日何回も発信されており、
「フォロワー」は2000人以上になっています。
(N Nakasato with BOT@nkstnbkz)

私も欠かさずにフォローしています。

「ツイッター」は簡単に登録できます。
以下のウェブサイトで、
「名前(匿名可)」と「メールアドレス(フリーメール可)」を入れ、
「パスワード」を決めるだけです。
https://twitter.com/

「つぶやく」ときはハッシュタグ「#てんかん」をつけると、
てんかんの情報を共有することができます。

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2012年11月24日 (土)

乳児重症ミオクロニーてんかん(ドラベ症候群)のマウス

乳児重症ミオクロニーてんかん(ドラベ症候群)に関する
アメリカのワシントン大学の研究が、
世界で最も権威のある
科学雑誌である「ネイチャー」に
2012年8月22日付で掲載されました。

Han Sら:
Autistic-like behaviour in Scn1a+/- mice
  and rescue by enhanced GABA-mediated neurotransmission.
Nature 2012;489:385-90.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22914087

Pubmed(英文抄録)

以下はその日本語抄訳(さむ訳)です。

*****

「Scn1aヘテロ変異マウスの自閉症様行動とGABA神経伝達増強による回復」

「ナトリウムチャネル」の設計図のひとつである、
「SCN1A遺伝子」のペアのうちひとつが働かなくなることが、
乳児重症ミオクロニーてんかん(ドラベ症候群)の原因となる。

乳児重症ミオクロニーてんかん(ドラベ症候群)では、
繰り返す難治なけいれんと、認知の障害、自閉症の様な行動を認めることがあるが、
認知の障害と自閉症の様な行動を引き起こす仕組みはほとんどわかっていない。

著者らは「Scn1a遺伝子」のひとつを働かなくしたマウスでも、
多動行動、繰り返し行動、社会性行動の障害、空間記憶の障害があることを報告する


この遺伝子の変化により、
神経の興奮を抑制する「GABA作動性」の神経伝達が特異的に障害され、
前脳の「介在神経」の「ナトリウムチャネル」が選択的に欠損することが、
認知の
障害や自閉症の様な行動の原因であった。

特筆すべきことは、
「GABA受容体」の調節薬である「クロナゼパム」を低用量で使用することにより、
社会性行動の障害と恐怖記憶の障害が完全に回復したことである。

そのことは、
社会性行動の障害と恐怖記憶の障害は、
反復するけいれんによる神経障害が原因ではなく、
「GABA作動性」の神経伝達の障害が原因であることを示唆している。

この結果は、
乳児重症ミオクロニーてんかん(ドラベ症候群)における、
神経や精神の機能への「ナトリウムチャネル」の重要な役割を示唆するとともに、
認知の障害と自閉症の様な行動に対する治療戦略の可能性を提供するものである。

*****

参考
ノックアウトマウス - Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%83%88%E3%83%9E%E3%82%A6%E3%82%B9

ノックアウトマウス

この研究の重要な点は、
乳児重症ミオクロニーてんかん(ドラベ症候群)の患者さんと同じように、
 「SCN1A遺伝子」のひとつを働かなくしたマウスでも認知や行動の症状があること
「GABA受容体」に作用するベンゾジアゼピン系抗てんかん薬である、
 「クロナゼパム」によりマウスにおいては認知や行動の症状が改善したこと

にあります。

もちろん、
これは「マウス」の研究ですので、
私たち「ヒト」とまったく同じではありません。

ですので、
患者さんが「クロナゼパム
商品名:リボトリール)」を内服することにより、
実際に
認知や行動の症状が改善するかどうかはまったくわからず、
今後は十分な検証が必要になります。

しかし、
今後も
マウスにさまざまな薬を試みてもらうことにより、
てんかん」に対してだけではなく「精神発達」に対しても
より良い治療がみつかることが期待されます

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点頭てんかん(ウエスト症候群)の治療:ACTH療法とは?

この記事は続きになります。

「点頭てんかん(ウエスト症候群)
の治療:抗てんかん薬とACTH療法
http://kodomonotenkan.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-8527.html

点頭てんかん(ウエスト症候群)と診断され、
抗てんかん薬による治療の効果が十分でないと判断されると、
ACTH療法による治療が検討されます。

ACTH」とは、
副腎皮質刺激ホルモン」のことです。

「副腎皮質」は、
腰の上の両わきにある、
腎臓のそばにある「副腎」の一部です。

副腎

副腎皮質ホルモン」は、
生命を維持するのに不可欠なホルモンであり、
・体のタンパク質を糖分に変えて血糖を保つ作用
・体のナトリウムやカリウムなどのイオンバランスを保つ作用
・体の免疫を調整する作用
などがあります。
一般的には「ステロイド」とよばれているホルモンです。

参考
副腎皮質ホルモン - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%AF%E8%85%8E%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%A2%E3%83%B3

ですので、
ACTH」は「副腎皮質を刺激して体の中に「ステロイド」を出す
ホルモンということになります。

ACTHは脳の中心にある「下垂体」から出ます。

下垂体

BodyParts3D, © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under CC表示 継承2.1 日本

参考
副腎皮質刺激ホルモン - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%AF%E8%85%8E%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E5%88%BA%E6%BF%80%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%A2%E3%83%B3

ACTH療法は、
1950年にてんかんに対する有効性が、
1958年に点頭てんかん(ウエスト症候群)に対する有効性が、
初めて報告されました。

それから50年以上がたち、
ACTH療法点頭てんかん(ウエスト症候群)に最も有効な治療
であることはわかりましたが、
一方で、
なぜACTH療法点頭てんかん(ウエスト症候群)に最も有効な治療
なのか
いまだにほとんどわかっていません。

また、
ステロイド」そのものも、
点頭てんかん(ウエスト症候群)に有効であることがわかっており、
最新の有名なイギリスのガイドラインでは、
点頭てんかん(ウエスト症候群)の第一選択薬は、
「ACTH」または「ステロイド」
となっています。

ですので、

点頭てんかん(ウエスト症候群)に最も有効な治療は、
もともと体の中にあるホルモンによる治療である、

ということになります。

この後も、
点頭てんかん(ウエスト症候群)の、
ACTH療法
について書いていきます。

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2012年11月22日 (木)

てんかんの専門医の探し方

この記事は前の記事の補足になります。

「てんかんの豆知識―専門医のかかり方」
http://kodomonotenkan.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-9060.html

てんかんを診療している科は、
・小児科
・神経内科
・精神科
・脳外科
になります。

ですので、
子どもの場合には、
まずは「小児科」を受診します。

その上で、
てんかんを専門とする、
専門医」を受診する必要がある場合には、
・てんかん専門医
・てんかんを診療している小児神経専門医
のどちらかを受診します。

なお、
小児科医の場合には、
まずは、
小児科医が「小児科専門医」となり、
そして、
その小児科専門医の一部が「小児神経専門医」となり、
さらに、だいたいは、
その小児神経専門医の一部が「てんかん専門医」となります。

ですので、
小児科の「てんかん専門医」は、
すでに「小児科専門医」であり、
さらにだいたいは「小児神経専門医」でもあります。


それらの、
てんかん専門医」と「小児神経専門医」は、
以下のウェブサイトから探すことができます。

「てんかん専門医」
日本てんかん学会:専門医名簿
http://square.umin.ac.jp/jes/senmon/senmon-list.html

「小児神経専門医」
日本小児神経学会:小児神経専門医一覧
http://child-neuro-jp.org/visitor/sisetu2/senmon_simeilist/map_simei.html

また、
専門医」の有無に関わらない、
てんかんを診療する医師」は、
以下のウェブサイトから探すことができます。

てんかん診療ネットワーク
http://www.ecn-japan.com/

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2012年11月21日 (水)

てんかんの専門医のかかり方

てんかん」と診断されたら、
てんかん専門医」にかかるべきなのでしょうか?
(子どもであればてんかんを診療する「小児神経専門医」を含みます)

必ずしもそうではありません。


子どものてんかんの多くは、
お近くの「かかりつけ」の病院でも、
しっかりとした診療を受けることができます。


それでは、
はたしてどのような場合に、
てんかん専門医」にかかるべきなのでしょうか?

ひとつは、
診断がつかない時です。

子どもはいろいろな動きをします。
なかには「てんかん発作」とまぎらわしいものもあります。
そしてそれらは症状の聞き取りと脳波の検査だけでは、
てんかん」かどうかわからないこともよくあります。

そのような時は、
むやみに抗てんかん薬を始めないで、
てんかん専門医」に相談する必要があります。

もうひとつは、
2~3種類以上の抗てんかん薬を内服しても、
てんかん発作」がなくならない場合です。

もしかしたら「難治てんかん
である可能性があります
しかし「みかけの難治てんかん」である可能性もあります

みかけの難治てんかん」にはいくつかの原因があります。

そもそも「てんかん」ではないかもしれません。
(立ちくらみによる失神でも「けいれん」することがあります。)
そうすると抗てんかん薬
もちろん効果がありません。

あるいは抗てんかん薬の種類があっていないかもしれません。
(テグレトールはミオクロニー発作を悪くすることがあります。)

そのような時は、
やみくもに抗てんかん薬を増やさないで、
てんかん専門医」に相談する必要があります。

それから、
難治てんかん」と診断された場合です。

具体的には、
・点頭てんかん(ウエスト症候群)
・重症乳児ミオクロニーてんかん(ドラベ症候群)
・レノックス・ガストー症候群
・ミオクロニー失立(脱力)発作てんかん(ドーゼ症候群)
・徐波睡眠時に持続性棘徐波(CSWS
ESES)を示すてんかん
・ランドー・クレフナー症候群(獲得性てんかん性失語)
が挙げられています。

これらのてんかんと診断された場合には。
てんかん専門医」による、あるいはその指示による、
(子どもであればてんかんを診療する「小児神経専門医」を含みます)
専門的な治療が必要とされています。(文献1)

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参考文献
[1] National Institute for Health and Clinical Excellence (NICE):
  The epilepsies: the diagnosis and management of the epilepsies
  in adults and children in primary and secondary care.
  http://guidance.nice.org.uk/CG137

2012年11月20日 (火)

てんかんの最新情報

ところで、
みなさんはどのようにして、
てんかん」の新しい情報を得ているでしょうか?

私は「Googleアラート」を使っています。
http://www.google.com/alerts?hl=ja

使い方は簡単で、
「Googleアラート」のウェブサイトに入り、
「検索キーワード」に「てんかん」と打ち込みます。

そして、
「結果のタイプ」を「すべて」とすると、
ウェブサイトにのった新しい情報が、
「結果のタイプ」を「ニュース」とすると、
ニュースにのった新しい情報が、
メールに届くようになります。

これで、
私はてんかんの話題や新薬などの新しい情報を、
いち早く得るように心がけています。

そして、
新しい情報を見つけたら、
すぐにTwitterにのせるようにしています。

ですので、
このブログの左側にあります、
Twitterもぜひご覧ください。

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2012年11月19日 (月)

点頭てんかん(ウエスト症候群)の治療:抗てんかん薬とACTH療法

この記事は続きになります。

「点頭てんかん(ウエスト症候群)の
検査
http://kodomonotenkan.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-55f4.html

点頭てんかん(ウエスト症候群)
と診断されると、
何らかの治療を受ける必要があります。

点頭てんかん(ウエスト症候群)は、
てんかん性脳症」のひとつになります。

てんかん性脳症」とは、
「認知や行動の障害について、
 てんかん性活動そのものが障害を引き起こす原因となり、
 これらの障害が経時的に悪化するもの」
と定義されています(文献1、
さむ訳

つまり、

点頭てんかん(ウエスト症候群)においては、
点頭発作(スパズム発作)」とよばれる発作だけではなく、
ヒプスアリスミア」とよばれる脳の電気の流れ(脳波)の乱れが、
発達に良くない影響をおよぼす、

ということです。

ですので、

点頭てんかん(ウエスト症候群)の治療の目標は、
点頭発作(スパズム発作)を止めることだけではなく、
ヒプスアリスミア脳波をできるだけ良くすることにより、
発達に良くない影響をおよぼすことを防ぐ、

ことにあります。

なお、
このよう
脳波そのものを治療することは、
てんかん性脳症」などの一部のてんかんのみ必要とされ、
その他のてんかんでは、
てんかん発作
がなくなれば、
さらに脳波
そのものを治療することはありません。

点頭てんかん(ウエスト症候群)の治療には、
・抗てんかん薬(ビタミンB6薬を含む)
・ACTH
療法
・ケトン食療法
・てんかん外科治療
があります。

このなかで、
最も有効な治療は「ACTH療法」となります。
なお、「ACTH」はそのまま「エイシティーエイチ」と読みますが、
「アクサ」
「アクス」あるいは「アックス」とよばれることもあります。

しかしながら、
ACTH療法には強い「作用」の一方で強い「副作用」もあります。
ですので実際には、
点頭てんかん(ウエスト症候群)と診断されると、
まずは抗てんかん薬から使い始め、
その効果を見極めつつACTH療法の準備を始め、
その間にいくつかの検査を受けて原因を探していく、
ということになります。

抗てんかん薬は、
・バルプロ酸(商品名:デパケンなど)
・ゾニサミド(商品名:エクセグラン)
などがまずは試みられます。
また、
・ビタミンB6薬(商品名:
アデロキザール)
が試みられることもあります。

なお、
てんかんに対するビタミン薬は、
点頭てんかん(ウエスト症候群)のみ試みられています。

諸外国においては、
特に「結節性硬化症」による点頭てんかん(ウエスト症候群)に、
「ビガバトリン」も第一選択薬のひとつとなっており、
日本においても、
発売前の段階からの大規模な治験が開始されていきます。

参考
ミクスOnline:
サノフィとアルフレッサ
 点頭てんかんの治療薬を共同開発へ フェーズ3から
http://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/42379/Default.aspx

そして、
これらの抗てんかん薬により、
点頭発作(スパズム発作)が止まり、
ヒプスアリスミアの脳波が良くなれば、
ACTH療法には踏み切らないことになります。

この後は、
点頭てんかん(ウエスト症候群)
の、
ACTH療法について書いていきます。

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参考文献
[1] Berg ATら.Epilepsia 2010;51:676-685.

2012年11月17日 (土)

水と空気と抗てんかん薬(補足)

この記事は前の記事の補足になります。

「てんかんの私見―水と空気と抗てんかん薬」
http://kodomonotenkan.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-065e.html

なお、
私たち専門家は「代替療法」を軽視してはいません。
これまでにてんかんの「代替療法」として、

・食事療法
・心理療法
・リラクゼーション療法
・漢方薬
・ビタミン薬
・鍼(はり)
・ヨーガ

などの有効性が検討されています。

しかしながら、
現在のところ「ケトン食療法」以外は有効性が確認されていません(文献1)。
(よって「ケトン食療法」は「代替療法」ではなく「確立した治療」です。)

もちろんこれらの検討は、
てんかん全体としての有効性が確認されていないだけで、
てんかんのあるお一人お一人に有効性がないことを証明するものではありません。
そして今後に有効性が確認されることがないとも言えません。
ですので、
すでに実践されている「代替療法」が、
その方にとり、
てんかんに「作用」して、かつ、「副作用」が少ないように感じ、
そして適切な「価格」であるのであれば、
また私ども専門家からみても、
てんかんや健康に悪く「作用」せず、かつ、「副作用」がなさそうであれば、
そして実施中の治療に影響がなさそうであれば、
私は強く止める理由はないように考えております。

しかしながら、
「毒にも薬にもなる」という言葉があるように、

あらゆるものにはなんらかの「作用」と「副作用」とがあると考えます。
「薬」になることを期待しているものが、
「毒」になる危険も当然ながらあり、

「薬」になる可能性と「毒」になる可能性は同等に考えなければなりません。
てんかんを良くする可能性を秘めているかもしれませんが、
てんかんを悪くする可能性も秘めているかもしれないのです。

例えば、
みなさんは「銀杏(ぎんなん)」を食べ過ぎると、
てんかん発作を起こすかもしれないことをご存知でしょうか?
てんかん発作を起こすのであって、その後にてんかんになるわけではありません。)

参考
ギンコトキシン - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%83%88%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%B3

そのような世の中のいろいろなもののなかから、
専門家により慎重に慎重を重ねて見極められ選ばれたものだけが、
すでに「薬」とよばれているわけです。

代替療法」を実践される方は、どうか主治医とご相談されてください。

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参考文献
[1] Levy RGら:Ketogenic diet and other dietary treatments for epilepsy.
  Cochrane Database Syst Rev 3: CD001903, 2012.

2012年11月16日 (金)

水と空気と抗てんかん薬

てんかんの「代替療法」や、
抗てんかん薬の「副作用」について、
お問い合わせをいただきましたので、
私なりの考えを少し書きたいと思います。

私は世の中のあらゆるものに、
「作用」と「副作用」とがあると考えています。

最も身近にある「水」や「空気」はどうでしょうか?
この無色透明の液体や気体は、
私たちを生かす「作用」だけを持ち、
私たちを脅かす「副作用」は持たないのでしょうか?

水は飲みすぎると「水中毒」を起こします。
空気は吸いすぎると「過換気症候群」を起こします。
そして命を脅かすことさえありえます。
最も身近にある水や空気でさえ、
飲み方や吸い方によっては「副作用」があるのです。

それでは抗てんかん薬について考えていきます。

***話しがややそれますが***
もちろん抗てんかん薬は飲まないに越したことはありません。
私は一番の治療は「治療しなくてもいい」ことだと考えています。
実際に良性小児部分てんかんでは「無治療」も治療の選択肢となります。
しかしながら、
てんかん発作による怪我の危険や生活への支障などの「不利益」が大きく、
一方で、
抗てんかん薬の「作用」でてんかん発作が抑えられる「利益」が大きく、
かつ、
抗てんかん薬の「副作用」による「不利益」が小さく、
それらを足し合わせ、
「利益」が「不利益」を上回る場合に、
抗てんかん薬を飲むことを
勧めています。

***話しを戻します******
代表的な抗てんかん薬である「バルプロ酸」は、
セイヨウカノコソウ(バレリアン、吉草)というハーブから抽出される、
バレリン酸(吉草酸)の仲間(類似物質)になります。
「バレリアン」はハーブのサプリメントとして売られ、
「バレリン」(バルプロ酸の商品名のひとつ)は抗てんかん薬として処方されます。

世の中のいろいろなものの中から、
バルプロ酸は、
てんかん発作を抑える「作用」がとても大きく、
眠気や肝障害などの「副作用」が少なめであることから、
「抗てんかん薬」として選ばれました。
一方で、
バレ
リン酸にも、
不眠症をよくする「作用」があります。

(眠気を「作用」とみるか「副作用」とみるかは目的次第ですね。)
しかしその「作用」は大きいものではありません。
ですので「サプリメント」になりました。
それでは「副作用」はないのでしょうか?
やはり肝障害などの「副作用」は報告されているのです。

参考
セイヨウカノコソウ - Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%83%A8%E3%82%A6%E3%82%AB%E3%83%8E%E3%82%B3%E3%82%BD%E3%82%A6

私の申し上げたいことは、
「薬」に選ばれ「薬」と名付けられたものだけに、
「副作用」が付いてくるということではなく、
あくまで、
その「作用」による「利益」が、
その「副作用」による「不利益」を、
はるかに上回ることが証明されたものだけが、
「薬」として選び抜かれているということです。

現在のところ、
てんかんの治療の第一は抗てんかん薬による治療です。
これは世の中のいろいろなもののなかから、
てん
かん発作を抑える「作用」が大きく「副作用」が少ないものだけが、
抗てんかん薬」として選び抜かれ、
抗てんかん薬」と
名付けられた結果です。

ですので、
そのような選び抜かれたものによる「治療」を受ける前に、
そのように選び抜かれていないものによる「治療」を試すことは、
私はお勧めはしておりません。

2012年11月15日 (木)

点頭てんかん(ウエスト症候群)の検査

この記事は続きになります。

「点頭てんかん(ウエスト症候群)の診断
http://kodomonotenkan.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-df25.html


点頭てんかん(ウエスト症候群)と診断されると、
いくつかの検査を受けることになります。

まず、血液検査があります。
これは、点頭てんかん(ウエスト症候群)の原因として、
体の代謝がうまくいかない「先天代謝異常症」などが、
隠れていないかをみるためです。

この先天性代謝異常症は、
その病気に対する治療薬があることが多く、
見逃さないようにしています。

また、体の設計図の変化による、
「遺伝子異常症」や「染色体異常症」の検査も、
血液検査により行います。

しかし、赤ちゃんの血液検査は、
全ての年齢で最も難しいとされており、
ベテランの医師でもうまくいかないことも多くあります。

また、尿検査もあります。
これも、先天性代謝異常症などが、
隠れていないかをみるためです。

赤ちゃんのおしっこをとるためには、
お股にパックを張り付ける必要があります。
なかなかうまくいかないことも多くあり、
繰り返し張り付ける場合には、
かぶれないように気をつけています。
パックに輪ゴムをゆるくかけて巾着(きんちゃく)状にすると、
うまくいくかもしれません。

参考
新潟県長岡市:
「10 か月児健診における女児の採尿方法の工夫について」
http://www.city.nagaoka.niigata.jp/kosodate/nyuyouji/kenkou/10-kenshin-kufuu.pdf

さらに、髄液検査を受けることもあります。
これも、先天性代謝異常症など、
特に、「ミトコンドリア病」という、
体のエネルギーを作る代謝がうまくいかない病気が、
隠れていないかをみるためです。

さらに、頭の画像の検査があります。
頭の画像の検査には、
「MRI検査」と「CT検査」とがあります。
それぞれに一長一短があります。

MRI検査は磁力を利用する検査です。
利点は解像度が高いことです。
脳の形作られることがうまくいかない「大脳皮質形成異常症」は、
MRI検査でのみ見つけられることが多くあります。

欠点は検査の時間が長いことです。
20~30分程度かかるため、
全身麻酔薬が必要となることが多く、
注意深く検査をしています。

大脳皮質形成異常症は、
てんかん外科手術により
てんかん発作がなくなる可能性があるため、
見逃さないようにしています。

CT検査は放射線を利用する検査です。
利点は検査の時間が短いことです。
全身麻酔薬を必要としないことが多く、
深く眠っている時に検査をするようにしますが、
うまくいかない場合には、
睡眠薬を飲んだりお尻から入れたりすることもあります。

また、生まれつきの感染である「先天性感染症」や、
遺伝子異常症の一種である「結節性硬化症」などによる、
脳のなかの小さな石(石灰化)は、
CT検査でのみ
見つけられることが多くあります。

欠点は解像度が低いことです。
大脳皮質形成異常症は、
大きなものは見つけられますが、
小さなものは見
つけられません

また、少なからず被ばくします。
よって、検査の利益と被ばくの不利益とを慎重に検討し、
検査の利益が上回る場合に行います。

被ばくの量はさまざまですが、
0.5~2ミリシーベルト程度とされています。
なお、日本の年間の自然放射線は1.5ミリシーベルト程度、
東京―ニューヨーク往復は0.2ミリシーベルト程度、
とされています。

参考
文部科学省:「放射線による影響」
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2011/11/04/1313005_10_1.pdf

特殊な検査である、
SPECT(スペクト)検査、PET(ペット)検査、脳磁図検査などは、
また別に書きたいと思います。

この後は、
点頭てんかん(ウエスト症候群)の、
治療について書いていきます。

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2012年11月14日 (水)

今日で一週間になりました

このブログを書き始めて今日でちょうど一週間になりました。

みなさんからのご支援をいただき、
「にほんブログ村ランキング」や「人気ブログランキング」でも、
上位の方にいれていただきました。
心より感謝を申し上げます。

これまでにも、
てんかん」や「小児てんかん」につきまして、
さまざまな本、雑誌やウェブサイトで執筆してまいりましたが、
このブログを見ていただいた方の数を知り、
あらためてインターネットの力の大きさを感じております。

病院や学会などの都合でなかなか更新できないこともあるかと存じますが、
みなさんのお役にたてるブログを目指してまいりますので、
今後ともご愛読をいただきたく何卒よろしくお願い申し上げます。

さむ
 

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2012年11月13日 (火)

点頭てんかん(ウエスト症候群)の診断

の記事はてらむーさん」からのご要望により書いております。



点頭てんかん」は主に赤ちゃんがかかるてんかんです。

「点頭(てんとう)」というのは、「うなずく」という意味です。
このてんかんに罹った赤ちゃんは、うなずくような発作を起こします。

ウエスト(West)症候群」は点頭てんかんの別名であり、
このふたつの病名はほぼ同じように使われています。

「ウエスト」という名前は、
英国の医師であるウイリアム・ウエスト(1793年~1848年)の名前に由来します。
ウイリアムの息子であるジェームスは生まれて4カ月目に点頭てんかんになりました。
ウイリアムは息子の症状を医学雑誌にのせ、
これが点頭てんかん(ウエスト症候群)
の初めての報告になりました。

点頭てんかん(ウエスト症候群)は、
てんかんのなかではややまれであり、
赤ちゃん3000人に1人くらいがかかります。

点頭てんかん(ウエスト症候群)にかかった赤ちゃんには、
・うなずくような発作(点頭発作)を繰り返す
・発達が遅くなる、止まる、戻る(できていたことができなくなる)
という症状がでてきます。

なお、「点頭発作」は最近では「スパズム発作」ともよばれます。
「スパズム」というのは、短い時間だけ筋肉が縮むことです。

点頭てんかん(ウエスト症候群)になる原因はさまざまです。
原因は突き止められることも突き止められないこともあります。

実際にはなかなか原因を突き止めることはできません。
このような場合には、
潜因性点頭てんかん(ウエスト症候群)」とよばれます。
「潜因(せんいん)」というのは、「潜在+原因」という意味であり、
なんらかの原因がありそうだけれどもはっきりとしないということです。

突き止められる原因にはさまざまなものがあります。
脳のかたち作られることがうまくいかないことに原因があることもあります。
また、体の代謝がうまくいかないことに原因があることもあります。
あるいは、極端な難産などによる脳の傷に原因があることもあります。
このような場合には、
症候(しょうこう)性点頭てんかん(ウエスト症候群)」とよばれます。

まれに、体の設計図の変化に原因があることもあります。
体の設計図には「遺伝子」やそれを折りたたんだ「染色体」があります。
なお、誤解されやすいことですが、
「遺伝子に原因がある」ことイコール「遺伝した」ということではありません。

このような遺伝子の変化のほとんどは、
親から子への「遺伝」ではなく、
赤ちゃんだけの「偶然の遺伝子の変化」によって起こります。

このてんかんが疑われる場合には、
まずは、「脳波検査」が行われます。
脳波検査は「脳の電気の波の流れ」をみる検査です。
そして、脳波検査で、

ヒプスアリスミア」と呼ばれる特徴のある脳の電気の波がみられれば、
点頭てんかん(ウエスト症候群)と診断されます。

ヒプスアリスミア」とは、
てんかんの波が全体にばらばらに入り混じった脳波であり、
ギリシャ語の「丘(ヒプス)」と「律動のない(アリスミア)」からなる用語です。
しかし、ときにこの「ヒプスアリスミア」がはっきりしないことがあります。
その時には、繰り返して脳波検査を行うこともあります。
また、まれにこの「ヒプスアリスミア」がみられないこともあります。
それでも、点頭てんかんと判断されれば、
ヒプスアリスミアを伴わない点頭てんかん」と診断されることもあります。

なお、
ヒプスアリスミアを伴う点頭てんかん」のみを、
ウエスト症候群」とよぶこともあります。(文献1)

左側の脳波は治療前の「ヒプスアリスミア」の脳波
右側の脳波は治療後に正常となった脳波です。

Eeg_hypsarrhythmia_and_normal

この後は、
点頭てんかん(ウエスト症候群)の、
検査について書いていきます。

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参考
点頭てんかん - Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%82%B9%E9%A0%AD%E3%81%A6%E3%82%93%E3%81%8B%E3%82%93

参考文献
[1] 伊藤正利:ウエスト症候群の診断・治療ガイドライン.
  てんかん研究 2006;24:68-73.
  
http://square.umin.ac.jp/jes/epilepsy-detail/guideline.html

2012年11月12日 (月)

患者さんはおおよそ300万人?

てんかんの「有病率」はおおよそ1%です。
このてんかんの有病率というのは、
一時点においててんかんのある人の割合になります。
ですので、
日本にはおおよそ100万人の患者さんがいることになります。
ちなみに、
この有病率は男性の肺がん、女性の乳がんと同じくらいです。

ところが、
てんかんの生涯における「累積罹患率」はおおよそ3%になります。
このてんかんの生涯における累積罹患率というのは、
一生涯においててんかんのある人の割合になります。
ですので、
てんかんの「ある」人と「あった」人を合わせると、
日本にはおおよそ300万人の患者さんがいることになります。

てんかんがよくある病気のひとつであることがわかります。

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参考文献
World Health Organization (WHO): Atras: Epilepsy in the world 2005.

http://www.who.int/mental_health/neurology/Epilepsy_atlas_r1.pdf

2012年11月11日 (日)

ラファエロの遺作『キリストの変容』とてんかん

ラファエロ・サンティ(1483年~1520年)は、
ルネサンス期を代表するイタリアの画家です。

Raffaello

彼は37歳の若さで亡くなりましたが、
それまでに多数の作品を制作しています。

その彼の遺作、
『キリストの変容』(1520年、ヴァチカン美術館所蔵)です。

Transfiguration_raphael

とても有名な絵画であり、
みなさんもどこかで目にしたことがあるのではないでしょうか?

中央上にイエス・キリストが描かれていますが、
右下にはてんかん発作を起こした子どもが描かれています。

これは、
聖書の中に書かれている、
イエス・キリストがてんかんの子どもを治したことが
描かれています。

この子は「両側性非対称性強直発作」を起こしていますが、
現在ではその発作は
前頭葉の内側に原因があることがわかっています。

私の患者さんでは、
この発作が1日に何十回もありましたが、
その部位をてんかん外科手術で切除することにより発作が止まりました。

なお、
聖書には「
ケトン食療法」のもとである「断食」についても書かれています。
それについてはまた別に書いていきます。

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参考、出典

ラファエロ・サンティ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A8%E3%83%AD%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3

2012年11月10日 (土)

てんかんは脳の不整脈

あらためて、
てんかん」とはなんでしょうか?

私としては、
てんかんとは脳の不整脈である
と言えると考えています。

てんかん」と「不整脈」、
この2つには多くの共通点があります。

まず、
脳も心臓も電気の波によって働いています。

そして、
その電気の波の乱れが、
脳では「てんかん」を、心臓では「不整脈」をおこします。

ですので、
てんかん」でも「不整脈」でも、
電気の波を調べる検査をします。

てんかん」では「脳波検査」、
「不整脈」では「心電図検査」です。

ちなみに、
脳波検査は英語でelectroencephalography (EEG)、
心電図検査は英語でelectrocardiography (ECG)、
"encephalo"(脳)と"cardio"(心臓)の違いだけです。
実際に、
脳波検査は「脳電図」検査とも呼ばれていました。

脳も心臓も電気の波の乱れが軽ければ症状はでません。
てんかん」では「発作間欠期のてんかん波」、
「不整脈」では「期外収縮」や「心房細動」など、
です。

しかし、
脳も心臓も電気の波の乱れが強ければ症状がでます。
短時間であれば、
てんかん」では「ミオクロニー発作」や「欠神発作」など、
「不整脈」では「期外収縮の頻発」や「短時間の心室頻拍」など、
です。
そして、
長時間であれば、
てんかん」では「複雑部分発作」や「全般性強直間代発作」など、
「不整脈」では「長時間の心室頻拍」や「心室細動」など、
です。

てんかん」も「不整脈」も、
電気の波の乱れを防ぐ薬で治療します。
てんかん」と「不整脈」の治療に同じ薬が使われることもあります。
有名な「キシロカイン」という薬です。
(この薬は痛みの電気の流れを止めるために局所麻酔としても使われます。)
また、
てんかん」の薬を極端に何倍も内服してしまうと、
心臓への副作用が心配されるのもこのためです。

どうでしょうか。

まさに、
てんかんとは脳の不整脈である
と言えると思いませんか?

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2012年11月 9日 (金)

脳と電気とてんかん発作

[てんかん発作] ブログ村キーワード


それでは、
脳はどのようにして働いているのでしょうか?
そして、
脳はどのようにしててんかん発作を起こすのでしょうか?

その答えのひとつは、
脳は電気の波により働いている
にあります。

前頭葉に電気が流れることにより、
手足などを動かすことができます。
話しをすることもできます。

側頭葉に電気が流れることにより、
感情が生まれ、記憶を蓄えることができます。
耳から電気が流れてくることにより音を聞くことができます。

頭頂葉に手足などから電気が流れてくることにより、
痛みや熱さなどを感じることができます。

後頭葉に目から電気が流れてくることにより、
物を見ることができます。

ところが、
何らかの原因により、

脳に余分な電気の波が流れてしまうことがあります。
これが「てんかん波」です。

そして、
この電気の波が症状を引き起こすことが、
てんかん発作」ということになります。

動画をご覧になってください。

動画(画像をクリック):脳の電気の波とてんかんの波
(「スマートフォン表示」の方は「PC表示」に切り替えるとご覧になれます)

Brain_epileptic_activity_movie

前半部分では緑色から黄色の電気の波がランダムに流れています。
これは普段から脳のさまざまな所が電気により働いていることを示しています。

Brain_normal_activity

しかし、
後半部分では突然に赤色の電気の波が右脳の前頭葉(画面の左側)に流れます。
これは強く乱れた余分な電気の波であり「てんかん波」を示します。

Brain_epileptic_activity

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2012年11月 8日 (木)

脳の働きとてんかん

てんかん発作」とはなんでしょうか?
また、どうして「てんかん発作」が起きるのでしょうか?

てんかん発作を理解するためには、まずは脳の働きを知る必要があります。

動画と図をご覧になり脳のイメージを作り上げてください。

動画(画像をクリック):脳と頭
(「スマートフォン表示」の方は「PC表示」に切り替えるとご覧になれます)

Brain_and_head_movie

脳は大きく
・前頭葉
・側頭葉
・頭頂葉
・後頭葉
にわけることができます。

Brain_left_lobe

そして、おおまかには、
・前頭葉には手足などを動かす働きと話しをする働き
・側頭葉には記憶や感情に関わる働きと音を聞く働き
・頭頂葉には痛みや熱さなどを感じる働き
・後頭葉には物を見る働き
があります。

このことが、
てんかん発作によりさまざまな症状がでる理由となります。

前頭葉にてんかん発作が起きると、
勝手に手足などが動いてしまいます。
話しができなくなることもあります。

側頭葉にてんかん発作が起きると、
既視感(デジャブ)や恐怖などを感じ、意識が遠くなり記憶がなくなります。
あるいは、音が聞こえることがあります。

頭頂葉にてんかん発作が起きると、
「ビリビリ」した感覚などを感じます。

後頭葉にてんかん発作が起きると、
光や色が見えたり、何も見えなくなったりします。

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てんかんと運転免許:学会の提言と報道

今回はてんかんと「運転免許」について取り上げたいと思います。

このニュースを取り上げるにあたり、
てんかんに関連した交通事故で亡くなられた方のご家族、ご関係者の方々には、
改めて心よりお悔みを申し上げます。

医師を中心とした学術団体である「日本てんかん学会」は、
2012年10月11日付で「てんかんと運転に関する提言」を公表いたしました(文献1)。

みなさんもそのことを新聞やテレビやウェブサイトでご覧になったかと思います。

日本てんかん学会では、
学会員へのアンケート調査、委員会での議論、ワークショップでの討論の後に、
10月11日付で提言を公表することがあらかじめ学会員にも周知されていました。

しかしながら、私は実際の報道を目の当たりにして、少なからずショックを受けました。
この報道では、とても私たちの考えが伝わらず、良くないことになると感じました。

以下が10月10日付の第一報です。

てんかんの運転免許条件「緩和を」 学会が提言」
(朝日新聞デジタル 2012年10月10日付)

http://www.asahi.com/national/update/1010/TKY201210100307.html
てんかんの持病がある人が車の重大事故を起こした問題を受け、
日本てんかん学会(兼子直理事長)は運転免許の要件の見直しを求める提言をまとめた。
現状は、免許取得にはてんかん発作が「2年間」出ていないことが必要だが、
「1年間」に短縮。
条件を和らげることで、正しい発作の申告につなげたい考えだ。
10日、東京都内で開かれた理事会で正式決定した。
提言では、免許取得に必要な発作がない期間について、
現行の2年から1年に短縮するよう求めた。
このほか、発作で更新が認められなかった人については、
その後1年間発作がなければ、新たに免許を取り直さなくても
更新で手続きが済むようにすることも盛り込んだ。

みなさんはどうお感じになったでしょうか?

その報道の直後より、ウェブサイトを中心に批判や疑問の声があふれることになりました。
重大事故を受けた見直しのはずなのに、
 
どうして発作のない期間が長くならずに短くなるのか?
このように感じることは、ごく当たり前のように思えます。

その2日後に日本てんかん学会の公表を受けた一斉の報道がありました。

以下が10月12日付の報道の一つです。

てんかん学会 交通事故防止へ提言」(NHKオンライン 2012年10月12日付)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121012/k10015687161000.html
てんかんの発作が原因とみられる交通事故では、
発作を申告せず免許を取得するケースが多いことから、
専門の医師で作る学会は、症状を申告しやすくすることが事故の防止につながるとして、
免許取得の条件となる発作が起きていない期間を、いまの2年以上から、
海外の多くの国に合わせて1年以上に改めるべきだとする提言をまとめました。
これは、11日、日本てんかん学会が記者会見して明らかにしたものです。
てんかんの患者が免許を取得するには

2年以上発作が起きていないという医師の診断書などが必要ですが、
去年、栃木県鹿沼市でクレーン車が小学生の列に突っ込み6人が死亡した事故では、
運転していた男がてんかんの持病を隠して運転免許を取得していました。
学会によりますと、
おととし1年間に起きたてんかんの発作が原因とみられる事故71件のうち、
大半の66件で発作があると申告せず、免許を取っていたということです。
背景には、運転できなくなると仕事を失うなどして
生活に支障が出るおそれがあることが指摘されています。
このため学会では、症状を申告しやすくすることが事故の防止につながるとして、
免許取得の条件となる発作が起きていない期間を、
いまの2年以上から海外の多くの国で採用されている
1年以上に変更すべきだと提言しました。

みなさんはどうお読みになったでしょうか?

私はこの報道もかなり不十分ではあるけれども、
第一報よりは私たちの考えが少しは盛り込まれているように思いました。
それは、
てんかん発作による事故の大部分が発作が持続している患者さんによる事故であること
・海外の多くの国では発作のない期間が1年間であること
です。
しかしながら、なぜ海外の多くの国では1年間であるのか、それは説明されていません。

その根拠は、
てんかんのある人の無発作期間が1年での事故の確率は、
 てんかんのない人のおおよそ2倍ではあるけれども、
 25歳以下の男性の3分の1未満、女性のおおよそ3分の2、
 70歳以上のご老人と同程度、
 17~19時間の睡眠不足の人と同程度

それから、
発作のない期間が2年から1年に短縮されても、命に係わる事故の確率は上昇しないこと
にあります。(文献2、3)
言い換えるならば、
発作が1年間ない患者さんの運転を禁止するのであれば、
 25歳以下と70歳以上の人と深夜の運転も禁止しなければならない

と言えそうです。 

残念ながらこの根拠が報道されることはありませんでした。

今回の日本てんかん学会の提言は、
あくまで医学的根拠による発作のない期間の適正化が主体であり、
それによる「発作の申告しやすさ」は付随したものにすぎないわけです。

てんかんにおける運転免許は重要な課題であり、
今後も取り上げていきたいと思います。

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参考文献

[1] 日本てんかん学会「てんかんと運転に関する提言」
    
http://square.umin.ac.jp/jes/images/jes-image/driveteigen2.pdf

[2] 日本てんかん学会「てんかんと運転に関する提言」の補足説明
    
http://square.umin.ac.jp/jes/images/jes-image/driveteigensupl.pdf

[3] 日本てんかん学会「てんかんと運転に関する提言」の補足説明・補足資料
    
http://square.umin.ac.jp/jes/images/jes-image/driveteigensuplfig.ppt

2012年11月 7日 (水)

てんかん専門医

ところで、みなさんは「てんかん専門医」をご存じでしょうか?

てんかん専門医」は「日本てんかん学会」という、
医師を中心とした学術団体により認定された専門医です。

日本の医師の総数はおおよそ30万人、
そのうちおおよそ2千人が日本てんかん学会に所属しています。

さらにそのうち、
てんかんの診療に従事している
・3年以上の正会員歴がある
・5年以上の研修歴、うち認定研修施設で1年以上の研修歴がある
・基盤分野の専門医である
 (小児科専門医、神経内科専門医、精神科専門医、脳外科専門医など)
・てんかんの論文が3編以上ある
を全て満たした医師が、
さらに、
・50人の患者さんの簡易な記述と5人の患者さんの詳細な記述
を提出し、
・筆記試験
・口頭試験
に合格すると、
てんかん専門医に認定されます(文献1)。
この基準は専門医のなかでも厳しい方だとされています。

てんかん専門医はまだ400人くらいしかいません。
てんかんの患者さんはおおよそ100万人とされていますので、
てんかん専門医1人が患者さん2千5百人を担当する計算になります。
医師の診察の時間を週6日、1日8時間としますと、
月1回の診察でも患者さん1人にわずか4.8分の計算になってしまいます。

少しでも多くの医師がてんかん専門医を目指してくれることを期待します。

ご近所のてんかん専門医は、
「てんかん診療ネットワーク(ECN-Japan)」のウェブサイト
http://www.ecn-japan.com/
で検索することができます。

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参考文献

[1] 日本てんかん学会 専門医制度諸規則
    
http://square.umin.ac.jp/jes/senmon/senmon-kisoku.html

てんかんの定義

[てんかん] ブログ村キーワード


てんかん」とはなんでしょうか?

てんかんにはいくつかの「定義」があります。

その代表は、世界保健機関(WHO)による、
てんかんとは、種々の成因によってもたらされる慢性の脳疾患であって、
大脳ニューロンの過剰な発射に由来する反復性の発作(てんかん発作)を特徴とし、
それにさまざまな臨床症状及び検査所見がともなう。
という定義です。
これは、医学的な定義になります。

また、最近(2005年)になり、
国際てんかん連盟(ILAE)と国際てんかん協会(IBE)の連名により、
てんかんとは、てんかん発作をひき起こす永続的な素因と、
その状態による神経生物学的、認知的、心理学的、社会的帰結により
特徴づけられる脳障害である。
このてんかんの定義は少なくとも1回のてんかん発作を必要とする。」(文献1、さむ訳)
という定義が提唱されました。
これは、医学的側面のみならず社会的側面も包括した、医師と患者の両者による定義です。

さらに、最近(2010年)には、
日本神経学会によりてんかんのガイドラインが改訂されるなかで、
てんかんとは慢性の脳の病気で、大脳の神経細胞が過剰に興奮するために、
脳の症状(発作)が反復性(2回以上)に起こるものである。
発作は突然に起こり、普通とは異なる身体症状や意識、運動および感覚の変化が生じる。
明らかなけいれんがあればてんかんの可能性は高い。」(文献2)
と定義されました。
これは、医師向けのガイドラインですが、わかりやすい言葉で定義しています。

これらの定義からは、
てんかんとは、てんかん発作を繰り返す慢性の脳の病気である
と言えるでしょう。

なお、一般的には、
てんかん発作」が少なくとも2回以上は繰り返されなければ、
てんかん」とは診断されません。
初めててんかん発作を起こした人が再びてんかん発作を起こす可能性は、
おおよそ5割に過ぎないからです。
ただし、再びてんかん発作を起こす可能性が高いと判断された場合には、
1回のてんかん発作でもてんかんと診断されることもありえます。

それでは、「てんかん発作」とはなんでしょうか?
また、どうして「てんかん発作」を起こすのでしょうか?

少しずつ書きすすめてまいりたいと思います。

以下のウェブサイトも参考にされてください。

日本てんかん協会
http://www.jea-net.jp/tenkan/tenkantoha.html

日本てんかん学会
http://square.umin.ac.jp/jes/qaa.html

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参考文献

[1] Fisherら:Epilepsia 2005:46;470-472

[2] 「てんかん治療ガイドライン」作成委員会編:てんかん治療ガイドライン.pp.1-16,2010
    
http://www.neurology-jp.org/guidelinem/epgl/sinkei_epgl_2010_02.pdf

はじめまして

みなさん、はじめまして、さむと申します。
子どものてんかんやけいれんを専門としている医師です。

みなさんと診察室でお会いできる時間はどうしても限られており、
お互いに伝えたいことや話したいことが伝えきれ話しきれないように感じております。

このブログではそのようなことを伝え合話し合ってまいりたいと思います。
私はてんかんやけいれんの原因、症状、検査、治療、ニュースなど
について、
みなさんからのご質問やご要望をお伺いしながら書いてまいります。 
みなさんの伝えたいことや話したいことをどう教えてください。

このブログへのご意見やご要望はコメント、掲示板やメールでお願いいたします。

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「人々はてんかんのことを神の御業だと思いこんでいるが、
 それは人々がてんかんについて知らないからにすぎない。」
―ヒポクラテス(“医学の父” 古代ギリシアの医師)

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